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- 2022.06.22

座ったままエクササイズ 第3回「ねじれた骨盤をリセットする“バランス体操”」

「今回ご紹介するエクササイズも第1回で解説した“椅子の正座”が基本になっています。お尻を左右にあげるだけのエクササイズですが、足は動かさないことがポイント。座ったまま、腰を左右にアップするフラダンスのような動きをゆっくり行うようなイメージでゆるやかに骨盤のバランスを整えていきましょう」。
※“椅子の正座”についてはこちら→https://about.angellir.jp/journal/703

①“椅子の正座”で座る

椅子に椅子の正座”で座ります。

②右ヒップを上げる

右のヒップを引き上げます。上体が前後・左右どちらにも倒れないように注意して。

③左ヒップを上げる

右ヒップをゆっくり下ろしたら、同様に左ヒップを引き上げます。

左右を交互に各4回ずつを目安に、慣れてきたら1分ほど続けて。生活の中で集中して行うというよりは、こまめに行うのがベスト。

NG例

かかとや膝が上がらないように注意して! 上げているお尻の反対側に体が倒れがちですが、そうならないようにギリギリ腰の可動域の範囲でお尻を引き上げるのがポイント。

キュッとひねって引き締める“腰スクイーズ”

「足を組んだり、体重をかけたりするとき、左右どちらかになりがちなものです。こうしたクセが長く続くと、骨盤の左右バランスが崩れてしまいます。しかし骨盤のバランスは左右だけでなく、前後や斜め方向にひねったようにズレやゆがみが生じていることもあります。レモンをギューッと搾る(=スクイーズ)ように腰をひねって止める動きで、骨盤のいろいろな方向へのゆがみを矯正することができます。」

①“椅子の正座”で座り、腰を左奥にひねる

椅子に“椅子の正座”で座り、腰を左にひねります。肩をグッと奥に引くイメージで。これ以上回らないというところで止め、10秒キープします。

②“椅子の正座”に戻る

腰を前に戻し、“椅子の正座”の姿勢で一拍置きます。

③反対側へひねる

左と同様に、腰を右にひねり、10秒キープします。

最低限、左右1セットを朝・昼・晩それぞれ行うのが目安。もちろん何度行ってもOKですが、一度に何度も回数をこなすよりも一日の中でこまめに行うように習慣づけるのがベターです。

碓田先生の姿勢講座

気づきにくいからこそ気を付けたい 骨盤のズレ

さまざまな健康法やダイエット術で注目度がアップしているパーツが“骨盤”。肩こりや腰痛は、筋肉が“助けて~”とSOSサインを出している状態ですが、骨である骨盤は痛みを感じるわけではないし、自分の骨盤のバランスがいいか悪いかは自覚しづらいものです。でも、虎ノ門カイロプラクティック院院長の碓田先生にとれば、実は知らず知らずのうちに骨盤がズレているという人がほとんどなんだとか。

「スカートが同じ方向にグルグル回ってしまったり、パンツを履いて過ごしているうちにウエストの高さが徐々に違ってきたり、長さは同じはずなのにパンツのどちらか一方の裾が擦れる……といった状況が起きている人は、骨盤のバランスが悪くなっている可能性大です。思い当たる人は、次のようなチェックをしてみてください。
  ①裸の状態で姿見を見て、おへその位置が中央にない・ウエストのくびれ方が左右で違う
  ②自然に立つか、寝ころんだ時に力を抜くと、つま先の開き具合が左右で違う
  ③腕を下ろして立ち、体を左右に倒したとき、指先の届く高さが違う
 骨盤が前後・左右にズレていると、こうした状況が起こります。ふだんの生活を振り返ってみて、立った時にいつも同じ足に体重をかけていたり、同じ方の足を組むクセがあったり、荷物を持つのが同じ側だったりということが重なると、徐々に骨盤がズレていってしまうんです。
 背中の真ん中を縦に走る背骨は、上から頚椎→胸椎→腰椎→仙骨の順で構成されていますが、腰椎の土台となる仙骨は骨盤の真ん中にある骨です。仙骨を中心に左右にハート形に広がる腸骨など、幾つかの骨が合わさってできているのが “骨盤”なんです。骨盤がズレる、ゆがむといった状態を突き詰めると、最も多い例が仙骨と腸骨をつなぐ“仙腸関節”がねじれた状態ということになります。
ちなみにたまに“私、骨盤が開いているからお尻が大きいのかも”というようなことを言う方がいますが、骨盤が開くのは基本的に出産時です。通常はハート形の骨盤が四角形になるぐらい骨盤の下の方が開くんですよ」。
 

骨盤のズレは全身に影響する!?

骨盤のズレやゆがみ自体は自覚しにくいものの、ズレたまま過ごしているうちにゆがみが体全体に大きく影響してしまうことも。アレッと思ったら、骨盤エクササイズを!

人間には利き腕、利き足があるように、左右の均整が完璧という事はあり得ません。骨盤も歪みやねじれが全くない人の方が少数です。私の所に訪れる患者さんでいえば、程度の差はありますが10人中7人くらいの割合で左右の足の長さが違います。左右の足の長さが違うまま歩くということは、片足ハイヒール、片足スニーカーで歩いているようなものですから、もちろん体全体への負担になります。
直径の違うタイヤで走る車はまっすぐ走れませんが、人間の体はよくできているのでズレていてもまっすぐ歩けます。でも、そのズレを調整するために体のどこかに不調が出てしまうんです。腰痛が左右どちらかの側に出ることが多いのも、その一例。骨盤がゆがんでいると、骨盤回りの筋肉が硬くなりやすいんですが、そうなってしまうと下半身の血行が悪くなるので、冷えやむくみの原因にもなります。
上半身を支える“土台”であり、上半身と下半身を繋ぐ“要”でもある骨盤がズレるということは、体全体にズレの影響が波及するということでもあります。骨盤自体に痛みがでないからこそ、日々手軽にできるエクササイズでメンテナンスするのがおすすめです」。
 

著者プロフィール

碓田拓磨 Takuma Usuda

虎ノ門カイロプラクティック院 院長、カイロプロテクター。早稲田大学在学中に「姿勢と健康」の授業を受講したことをきっかけに姿勢の重要性に目覚める。卒業後、米国パーマーカイロプラクティック大学に留学、ドクターオブカイロプラクティック(D.C.) の学位を取得。2002年に虎ノ門カイロプラクティック院開業、同年早稲田大学保健体育科目「姿勢と健康」の講師就任。“椅子の正座”をサポートする器具ZAGOOを開発、2017年には特許を取得。TV出演、著書、セミナーなどを通して、姿勢の啓蒙活動も積極的に行っている。最新刊は『健康寿命を延ばす 長生き姿勢』(かざひの文庫)。

虎ノ門カイロプラティック院HP https://toranomon-chiro.com

イラスト/和全 撮影/松本裕之 ヘアメイク/佐竹静香 モデル/武居美緒[ジャグラーインターナショナル] 取材・原稿/船津麻子